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HPVワクチンについての活発な審議が続いており、産婦人科医としては大変嬉しく思います。
2022年8月4日の第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会では、
・男性へのHPVワクチン投与
が対象になりましたので少しまとめます。
前回のブログでは9価HPVワクチンについてまとめました。
ここでは、男性へのHPV(Human papillomavirus)ワクチン投与についてです。
HPVワクチンのうち、4価ワクチンであるガーダシル®は2020年12月25日に男性への適応追加が承認されました。
このときの適応追加の内容は2点です。
*9歳以上の男性への使用
*HPV6、11、16及び18型の感染に起因する肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)
もともと女性の尖圭コンジローマは適応でしたので、さらに前駆病変を含む肛門癌(男女)と尖圭コンジローマ(男性)の予防に対する適応が承認されたことになります。
今回の審議でも、4価HPVワクチンの適応拡大を踏まえ、男性に対しても定期の予防接種とするかどうかが焦点になりました。
今後、ワクチンの有効性、安全性、 費用対効果などを検討していくことになるそうです。
HPVは女性特有の子宮頸がんだけでなく、男性もかかる中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、尖圭コンジローマなどの原因にもなります。
そのため、海外では77か国が男子接種を承認し、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど24か国で公費接種も行われています。
日本では、これまでは子宮頸がんへの感染を防ぐ目的で女性のみが接種対象となっていましたが、男性へ接種対象が拡大された形です。
HPVは性交渉で感染するものなので、9歳以上でかつ初めての性行為の前に接種するのが効果的であることは、女性と同じです。
今後は男の子の親御様も一緒に考えていく必要があります。
男性へのHPVワクチンは、現在のところ定期接種の対象ではありませんので、自費になります。
9価ワクチンのシルガード9®と2価ワクチンのサーバリックス®は、今のところ男性は対象ではありません。
男性がシルガード9を打った場合、副反応で健康被害が生じても、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)による金銭的補償救済の対象となりません。
ちなみに現在の母子手帳には、お子様が受ける予防接種一覧にHPVワクチンが記載されています。
お手元の母子健康手帳を確認してみてくださいね。
HPVワクチンにつきましてはQ&Aに今までのブログをまとめてありますので、ご参照ください。